定期的に掃除はしているのに近頃トイレに入るとやけににおう、鼻をつくきついにおいがするなど、トイレがクサい場合の原因とそれぞれの対処法を解説します。目の届く範囲を清掃だけしていても、手の届かないところに汚れがたまっていたり、トイレタンクの不具合が根本的な原因であったりします。クサいにおいの原因となる要素を順にチェックし、快適なトイレ空間を取り戻しましょう。
トイレのにおいの原因
トイレのにおいの原因は何でしょうか。トイレのにおいの主な原因は「排泄物」「飛び散り尿(アンモニア臭)」「換気扇」「下水臭」の4種類あります。今一度考えてみましょう。
排泄物のにおい
排泄物のにおいは通常、便器洗浄を行い、換気をすることで消えます。トイレ使用後のにおいが気になるということであれば、据え置き型やスプレー式の消臭剤、芳香剤を使うとよいでしょう。
飛び散り尿によるにおい
トイレのにおいの最大の原因となるのが飛び散り尿を原因としたアンモニア臭です。尿はそのほとんどが水分ですが約2%の尿素が含まれているといわれます。飛び散った尿に含まれる尿素が細菌に分解されることでアンモニアが発生し鼻をつくにおいを放つようになります。
換気扇からのにおい
トイレの室内に換気扇が設置されていることがあります。戸建てであれば窓が設置されているかもしてませんが、マンションやアパートなどの賃貸物件の場合は特に多いでしょう。
換気扇のフィルターが機能していない
換気扇には通常フィルターがついていますが、長期間清掃をしていないとほこりでフィルターの目がふさがっていることがあります。その場合、換気性能が著しく低下しますので、トイレ使用後のにおいがこもったり、ちょっとした飛び散り尿であってもにおいがトイレ室内に充満している可能性があります。
換気ダクト内の汚れ
トイレの換気扇の先には換気ダクトと呼ばれる空気の通り道があり、屋外に通じています。長年換気ダクト内の清掃を行っていないと、ダクト内のにおい、悪臭が屋内に流れ込んでくることがあります。カビくささ、ほこりくささを感じるようであれば、換気ダクトが原因かもしれません。
下水管からのにおい
通常トイレには水がたまっています。たまっている水のことは封水と呼ばれ、さまざまな役割を担っています。その一つが、下水管からの悪臭や害虫が屋内に侵入することを防ぐことです。便器からのびる排水パイプは床下を通り屋外に抜け、下水管に接続しています。封水が無ければ、下水管から排水パイプを通じて屋内まで直結することになるのです。当然下水のにおいや害虫は侵入し放題となります。
通常であれば封水が排水管を常に満たしているため下水管側とは遮断されていますが、トイレタンクの不具合や封水の蒸発によって封水が無くなることがあります。その場合はトイレ内に下水臭が漂うことになります。
飛び散り尿によるアンモニア臭の除去
便器にたまっている水の量が正常であれば、原因は飛び散り尿の可能性が高いです。鼻をつくアンモニア臭を感じれば尿素が原因であることは明らかですし、多くの方が悩むのはこのにおいでしょう。ここでは飛び散り尿によるアンモニア臭の除去と予防法を解説します。
乾いた尿素の確認方法
尿素は乾くと目に見えなくなります。トイレの室内の一体どこににおいの原因である尿素が付着しているのか、確認できなくても全体を隅々まで掃除すれば解決することです。しかし、トイレの室内に限っても掃除するべき面積はかなりあります。できればどこに尿素が付着しているか確認したいところ。実は乾いた尿素を目視する方法があります。
ブラックライトで照らす
尿素はブラックライトを照射されると黄色く光ります。トイレの室内を真っ暗にして、ブラックライトを当てればどこに尿素が付着しているのかを確認することができます。ブラックライトが手元にある人は試してみるとよいでしょう。わざわざトイレ掃除のためにブラックライトを買う気になれない方も多いかと思いますので、次項では特に重点的に清掃すべき箇所とその清掃方法を解説します。
尿素が付着しやすい箇所と清掃方法
ここではトイレの鼻をさすアンモニア臭を徹底的に除去するために重点的に掃除するべき箇所とその方法を解説します。
便座カバー、トイレマット
便座カバーや床に敷いているマットは丸洗いしましょう。便座カバーやトイレマットはトイレの見た目を良くしたり、寒い時期には床や便座に触れた時の冷たさをやわらげるメリットがあります。しかし衛生面で考えるとよいことは何もありませんので、もしトイレの臭いを何よりも除去したい、という場合であれば便座カバーやトイレマットは使うのをやめるのがよいでしょう。
トイレ室内の床と壁
トイレの床や壁には飛び散り尿が付着しています。特に男性が立って小便をしている家庭では、悲惨なほどに飛び散っています。
便器と床の隙間
特に男性が立って小便をする家庭では、誤って床にこぼしてしまうことがあるかと思います。そんなときに便器と床の間に尿が入り込み、雑菌の温床となりやすい場所です。また床の拭き掃除などをしているときに、水分を多めに含ませた雑巾などで拭いていると便器と床の隙間に汚れを押し込むことになります。洗剤とブラシでかきだすようにして掃除しましょう。
なお、この部分の汚れを落とすために便器を取り外すことはおすすめできません。一般の方ですと元に戻せなくなったり、戻せても水漏れを発生させたりするリスクがあるためです。
便座と便器の隙間
温水洗浄便座(ウォシュレット、シャワートイレ等)が設置されている場合は特に、「便座を外す」という発想がそもそもない方が多いでしょう。しかし便座は取り外すことができ、便座と便器の間には隙間があります。この部分についても、男性が立って小便をする家庭では特に尿が入り込んでいます。便座を取り外して洗剤とブラシを使って掃除しましょう。
便器のリム(特に内側)
便器のリムの部分は、洗浄時にはねる汚水の影響もあり、汚れがたまっています。死角になっているため、目に見える部分を掃除して一見きれいになっていても、リムの部分の汚れが原因で臭いが発生していることも考えられます。リムの汚れは頑固なことが多く、尿石となっていることも多いです。軽い汚れであればブラシで落ちることもありますが、尿石となっている場合は酸性の洗剤を塗布してしばらく放置する、耐水サンドペーパーを使って削る、など尿石除去の手順を踏むことになります。
防臭剤でアンモニアの発生を抑制する
飛び散り尿によって既に発生した臭いのもとを除去する清掃方法については解説しました。しかしトイレを使用していれば使用時、洗浄時などに少なからず尿素を含んだ汚れが飛び散ります。そこで日常的に飛び散った尿からアンモニア臭が発生することを抑制する防臭剤を使用しておけば万全です。
アンモニアの発生を抑制できる消臭・防臭剤
トイレの消臭剤・防臭剤は様々なものが販売されていて、どれがよいのか迷ってしまうと思います。一般消費者向けの商品ではなく、専門業者からの視点になってしまいますが、シーバーエス社から販売されている「トイレの消臭・防臭剤」はおすすめです。業務用となり2Lのボトルで購入することになりますが、一度買っておけばしばらく使えます。芳香剤のように強い臭いで悪臭をごまかすのではなく、臭いの発生そのものを抑制するので定期的に散布すると驚くほど効果を発揮します。
下水管からのにおいを防ぐ方法
封水が蒸発している場合
長期間トイレを使用していなかったために封水が蒸発したことが原因であった場合、対処法は簡単です。レバーハンドルをまわして洗浄し、封水が正常な水位までたまっていることを確認して完了です。
トイレタンク内の不具合が原因の場合
洗浄後すぐに封水が無くなる場合は、補助水管がオーバーフロー管から外れている可能性があります。トイレタンクのふたをあけ、補給水管をオーバーフロー管に差し込み直しましょう。
洗浄後しばらくしてから封水が無くなる場合は、トイレットペーパーや異物が排水管内に引っ掛かって詰まりかけている状態である可能性があります。何度かレバーハンドルをまわして洗浄してみましょう。それで直らなければ、吸引カップなどを使って詰まりを直せば、におわなくなります。
トイレの臭い対策についてのまとめ
この記事ではトイレの臭いが気になる場合の対処法を解説しました。臭いの原因はいくつか考えられるものの、飛び散り尿を原因としたアンモニア臭であることがほとんどでしょう。汚れの性質を把握して、効果的な道具、洗剤を使えば掃除は楽にできます。また使用するごとに飛び散る尿についても、臭いの発生を抑制する防臭剤・消臭剤を適切に使うことで清潔に保てます。住宅の中でもトイレは最も汚れる部分なので、仕組み、性質を理解した上でできる限り清潔な空間をたもって気持ちよく使えるトイレにしましょう。男性はぜひ、小便をする場合でも座ってするようにしましょう。