トイレ、お風呂、台所、洗面台の排水管・排水パイプがつまった時に、お湯を流したりラバーカップをつかって直すのが一般的です。実際にお湯もラバーカップも正しく使えば効果があります。しかしお湯やラバーカップではつまりが抜けない場合、ラバーカップよりも強い圧をかけることができる真空式パイプクリーナーの出番です。ここでは真空式パイプクリーナーの種類や、正しい使用法、使用上の注意点などを素人の方にもわかりやすいように解説します。
真空式パイプクリーナーの基礎知識
まずは真空式パイプクリーナーの基本的な知識を押さえましょう。
真空式パイプクリーナーとは
真空式パイプクリーナーとは、トイレ・風呂・台所、洗面台などの排水がつまったときに使用する、配水管・排水パイプの洗浄器具の一種で、「真空ポンプ」と呼ばれることもあります。基本的な原理はラバーカップと同じですが、ポンプを使うことでラバーカップよりも強い吸引力と押し上げる圧力をかけることができます。ラバーカップを使っても直らなかったつまりを、真空式パイプクリーナーを使ったら一発でつまりが抜けた、ということもあります。
上の画像の商品は、三栄水詮製作所から出ている「真空式パイプクリーナー PR8700-L」です。三栄水詮製作所は水まわりの汎用パーツなどを広く製造しているメーカーで、水道業者で1度もお世話になったことがないという作業員はまずいないでしょう。「サンエイさん」と敬意と愛着を込めて呼ぶことが多く、末永くものつくりを続けてほしいメーカーさんです。ここでは上記の商品を例に解説していきます。
購入可能な商品の種類
真空式パイプクリーナー(真空ポンプ)の代表的な機種を紹介します。
- 三栄水栓:真空式パイプクリーナー
- カクダイ:つまり取り真空ポンプ
- ウィキャン:真空式パイプクリーナー
どの商品も、コーナンやカインズのようなホームセンターで購入することができます。またamazonや楽天などのインターネット通販で購入することももちろんできます。
販売価格と相場
真空式パイプクリーナーは、ラバーカップより値段が張ります。メーカーで設定されている定価がおよそ3,000円程度です。実売価格の相場はおおよそ1,000円~2,000円台となっています。今回例として使用している三栄水詮製作所のPR8700-Lも、ホームセンターで2,000円強で購入したものです。
仕組みと構造
真空式パイプクリーナーは、特に組み立てる必要はありません。ハンドル部分を引くとカップ中央から水、空気を吸い込んで筒状の部分にたまる仕組みです。ハンドルを押し込むと吸い込んだものを押し出せます。
カップの部分は下の画像のようになっていて、この状態のままも使えますし、内側に収納されているスリーブを引き出すとことで洋式トイレの便器の穴などにフィットさせられるようにできています。
スリーブを引き出すと、下の画像のような状態になります。カップの部分の先端がのびているのが分かると思います。これがスリーブで、便器の穴にうまく当てることができ、圧力を逃がさず作業できます。
右横にある小さな黒いパーツが、交換用カップ小です。トイレで使うことは稀ですが、排水口の形状によって必要であれば交換することができます。
真空式パイプクリーナーの使い方
真空式パイプクリーナーは、サイズさえ適合していればトイレ、キッチンのシンク、お風呂、洗面台の排水管・排水パイプのどこにでも使えます。ここでは真空式パイプクリーナー(PR8700-L)を例に使い方を解説します。
養生をする
ラバーカップと同じように、排水口から圧をかける道具なので汚水が飛び散る可能性があります。ビニールシートや新聞紙、ボロ布などを使って養生しましょう。床と併せて壁にも養生をするのが重要です。養生の仕方の例として、トイレ、台所、洗面台の養生の様子の写真をご紹介しますので参考にしてみてください。
トイレの養生の様子
キッチンの養生の様子
洗面台の養生の様子
オーバーフロー口等をふさぐ
ツーシンクの台所や、洗面台のオーバーフロー口など、メインの排水口の先が配管によって他の排水口等につながっている場合は、濡れた雑巾やガムテープでふさぐ必要があります。真空式パイプクリーナーで圧をかけたときに他の出口があると、その出口から空気が抜けて効果が落ちるとともに、水が噴き出す可能性があります。
上の画像は洗面台のオーバーフロー口をふさぐ作業の例です。濡れた雑巾をドライバーを使ってねじ込んでいきます。
水をためる
ラバーカップと同様に、カップが水に浸っていない状態では圧力が隙間から逃げてしまうため、まずはカップの上部まで水をためます。完全につまって水がすぐにたまるケースもあれば、水の通り道がわずかに残っていて徐々に水が引いていくケースもあります。水が徐々に引いていく場合は、カップを排水口にしっかり当ててなるべく隙間をなくした状態で水を入れるとたまりやすくなります。
ハンドルを押す、引くを繰り返す
ハンドルを押し切った状態で排水口にカップを押し当てます。その上で、ハンドルを勢いよく引きます。一度でつまりが直らない場合は、何回か繰り返して行いましょう。
トイレのつまりの場合
トイレのつまりの場合、単にトイレットペーパーなどが引っ掛かっているのが原因でつまっている場合は、カップを便器の穴に当てたまま、真空式パイプクリーナーのハンドルを押す、引くを繰り返してもかまいませんが、固形物を流した時や、つまりの原因がわからない場合は、つまったものを取り出すようにしましょう。
そのためには、押すときには水から出し、引くときは便器の穴に当てて引くようにすると、つまったものが便器の穴付近に戻ってくる場合があります。詰まりの原因が戻ってきたら、ビニール手袋をした手を突っ込んで回収しましょう。流してしまうと、再度つまることがあります。
水がスーと引いたり、詰まったものが回収できれば、詰まりが解消されたと考えられますが、本当に詰まりが解消したかどうか、バケツの水を流して確認しましょう。詰まりが解消したと思っても、まだ完全に詰まりが解消していない事もよくあり、そのままレバーを回して水を流すと便器から水が溢れてしまうことがあります。そうならないように、バケツややかんなどで少しずつ便器に水を流して、正常に水が流れていくことを確認できたら、レバーを使って水を流すようにしましょう。
台所のつまりの場合
洗面台のつまりの場合
お風呂の排水詰まりの場合
まとめ
真空式パイプクリーナーの使い方を解説しました。真空式パイプクリーナーはラバーカップより若干値が張りますが、それでも2000円程度で購入できます。これから排水管・排水パイプの洗浄器具を購入する場合は、ラバーカップではなく最初から真空式パイプクリーナーを買っておくのもおすすめです。また、何より排水管・排水パイプをつまらせないように常日頃から使用方法に注意し、定期的にメンテナンスを行うことが重要です。